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June 2014

2014.06.05

Razer Orbweaver [02]

前回の「本体の分解」に引き続き、「Razer」製【Orbweaver】のキースイッチ&LED交換作業について備忘録として記載する。

■キースイッチ交換&LED交換

●用意した物
  ニッパー/プラスドライバー/マイナスドライバー/ヤスリ

ZF electronics社(旧Cherry社)製 メカニカルMXスイッチ単体
  MX黒軸 基板固定ピン付 (キートップ無) MX1A-11NW
  MX茶軸 基板固定ピン付 (キートップ無) MX1A-G1NW

※Cherry軸には「固定ピン無し」と「固定ピン有り」があるが、「Orbweaver」で使用しているのは「固定ピン有り」なので注意。尚、更に「Aタイプ」「BCタイプ」「MCタイプ」というのがあるが、これらはキートップの種類に由る違いで、何れもキースイッチ自体は全く同じ物。今回のようにキートップやLEDが不要(別途用意)で軸だけが欲しい場合、どのタイプの軸を使っても物は全く変わらない。(固定ピンの有無のみ注意)

Cherry_mx1a11nw Cherry_mx1ag1nwmx1a11nw_2

※Cherry軸を単体で販売しているショップは意外と少ないので、念の為此処で紹介しておこうと思う。今回小生は「株式会社ジェイダブルシステム」にて購入している。Cherry軸単体の入手方法をご存知ない方の参考になればと思う。

▽ノーブランド 砲弾型LED Φ3mm
  青色
   順電流(IF) : 50mA(max) / 順電圧(VF) : 2.9~3.6V
   光度(IV) : 12,000mcd / 半減角(Angle) : 30°
   波長(λd) : 465~475nm
  白色
   順電流(IF) : 50mA(max) / 順電圧(VF) : 2.9~3.6V
   光度(IV) : 22,000mcd / 半減角(Angle) : 30°
   波長(λd) : -
  赤色
   順電流(IF) : 50mA(max) / 順電圧(VF) : 2.0~2.4V
   光度(IV) : 20,000mcd / 半減角(Angle) : 30°
   波長(λd) : 620~630nm
  LED光拡散キャップ(赤色)

※LEDは超高輝度の場合リード線(脚)に放熱板が付いている事があるが、Cherry軸への取り付けに関しては放熱板があっても問題はない。
Led Led_02

赤色LEDは順方向電圧が低いが、「Orbweaver」を使用する際は【Razer Synapse】で輝度を落とすので、『何とかなるだろう』という素人考えで採用に踏み切った。若し早々に切れてしまうような事があれば、白色LEDに「LED光拡散キャップ(赤色)」を被せて代用する予定。(その際はこの記事に追記する)

尚、Cherry軸のLEDは一般的なΦ3mmよりも若干小さいようで、そのままだと取り付け後にキーパッド前面のカバーが閉まらなくなってしまう。その為、取り付け前にヤスリ掛けが必要であった(削ったのはレンズ下部の段差と頭部分)。
Led_03_2

白光株式会社 (HAKKO)
  ダイヤル式温度制御はんだこて FX600-02
  こて先 2C型 T18-C2
  こて台 No.633-01
  はんだ吸収線 FR120-05

※「Orbweaver」基板のスルーホールのランド径は、キースイッチ側が凡そΦ1.8mmでLED側が凡そΦX.Xmmであった。そこで、こて先は一般的な付属品の「B型」ではなく、別途「C型 2mm(2C)」を購入してみた。(当初「D型」にする予定だったが、丁度良い寸法が無かった為「C型」としている)

太洋電気産業株式会社 (goot (グット))
  両面プリント基板用はんだ (共晶) SD-61
  プリント基板用フラックス (無洗浄RMAタイプ) BS-75B
  レンズ付き作業台 ST-92

※今回の作業はスルーホール実装の為、はんだはサラッと溶け(流れ)易い「共晶はんだ」を購入してみた。(鉛フリーはんだは粘度が高く融点も高いようなので、今回は敬遠した)

サンハヤト株式会社 (Sunhayato)
  はんだシュッ太郎 (45W) HSK-200
  交換用先端チップ Φ1.0mm T-23

※「はんだシュッ太郎(45W)」に標準で付属している先端チップはΦ1.5mmのみ。然し、キースイッチ接続はんだの除去には丁度良かったが、LED接続はんだの除去には大き過ぎたので、別途径の小さな交換用先端チップも必要だった。

前回記事でも予め断りを入れているが、電子回路基板の取り扱い(はんだ付け含む)に関する“知識”及び“経験”は一切ない。上記道具の選択に関しては誤りもあるかも知れないので、小生と同様「はんだ素人」の方は参考程度とし、鵜呑みにはしないで頂きたい。また、下記はんだ付けの仕上がりに関しても、決して『これが正解』とは思わないよう、ご注意願いたい。

●手順

①はんだ吸い取り器を使い基板裏面側からはんだを除去し、LEDとキースイッチを取り外す。(先にLEDを外さないと、キースイッチ(だけ)を外す事は出来ない)
※上手くはんだが吸い上がらなかった(スルーホール内部にはんだが残ってしまった)場合、極少量の新しいはんだを加えてから再度試すと、綺麗に吸い上がる。
Razer_orbweaver_16

②新たなキースイッチをはんだ付けする。(LEDの手はんだ推奨条件としては、概ね『こて先温度 300℃前後以下(物により250~350℃位の幅あり)、3秒以内』である事が多いようなので、こて先温度は320℃に設定してみた)
※スルーホール実装での “はんだの上がり” を良くする為には、フラックスをスルーホール内に塗布し、スルーホール内壁と部品のリードを十分に温める事を意識すると良いようだ。(然しはんだ付け動作は速やかに行わないと、フラックスがスルーホール内壁に焦げ付いてしまい、はんだが流れ込むのを阻止してしまうので注意)
Razer_orbweaver_18 Throughhole_mount_3

③新たなLEDをはんだ付けし、余分なリード線をニッパーで切る。(LEDには極性があるので、基板表面に「+」とプリントされている方に長い方のリード線(アノード)を接続する)
※リードカットは基板裏面から3mm以内とし、厳密にははんだ付けの前に行う事が望ましいようだ。
Razer_orbweaver_17 Razer_orbweaver_19

④「Orbweaver」を一旦PCに繋ぎ、動作(キーの反応&LEDの点灯)を確認する。
Razer_orbweaver_20

⑤問題が無ければ、再度「Orbweaver」をPCから外し各パーツを組み立て直す。(キースイッチが傾いていたりLEDが浮いていると、キーパッド前面のカバーが閉まらなくなるので注意。クリアランスは結構シビアなので、小生は何箇所かはんだ付けをし直す事となった)
Razer_orbweaver_21

以上で「Orbweaver」のキースイッチ及びLEDの交換作業は完了。
Razer_orbweaver_22 Razer_orbweaver_23

一番奥の「02~05」キーは咄嗟に使うようなマクロは登録しないので元の【青軸】【白色LED】とし、左上の「01」キーは全マップ共通で「アプリケーションの終了」を登録しているので、わざと押下し辛いように【黒軸】【赤色LED】とした(可能であれば【緑軸】にしたかったのだが、今回は単体での入手が出来なかったので已む無く【黒軸】とした)。他のキーは今回の作業の最大の目的である【茶軸】【青色LED】としている。
Razer_orbweaver_25 Razer_orbweaver_26

今回ははんだ付け関連の道具を丸々揃える必要があった為、結構な出費になってしまったが、今後も使えそうな物を選んだ積もりだし色々と良い勉強になった。作業自体は特にトラブルもなく、すんなりと正常に使える状態に仕上がったので、本当に安堵しているし満足もしている。
Razer_orbweaver_24_2

※最後に、今回のはんだ付けの勉強の為、参考にさせて貰ったサイトを紹介。

日本はんだ付け協会
ハンダ付け(半田付け)職人のはんだ付けblog

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2014.06.04

Razer Orbweaver [01]

左手用入力デバイスとして、長年「BELKIN」製(「Razer」共同開発)の【Nostromo SpeedPad n52te】を愛用している。使い勝手や機能等は気に入っているのだが、掌を置くパームレスト部分が経年劣化によりべた付いて来て久しい。表面がラバーコーティングされており、取り外して洗浄してもべた付きは取れない。
一部キートップも擦れて来たので新品への買い替えも検討していたが、その頃には既に前述の「BELKIN」製は販売終了していた。替わりに「Razer」製として【Nostromo】が販売されてはいたが、オンボードメモリが非搭載となりマクロ遅延等の問題で購入には踏み切れずにいた。『いっその事「Nostromo」を購入し、パームレストのみ「Nostromo SpeedPad n52te」に付け替えようか』とも考えていたが、そうこうしているうちに終には「Nostromo」も販売終了となってしまった。
Belkin_nostromo_speedpad_n52te Razer_nostromo

現行製品だと「Razer」の【Orbweaver / Orbweaver Stealth】や【Tartarus】、「Logicool」の【G13 Advanced Gameboard】等があるが、何れも微妙に “帯に短し襷に長し” で今一パッとしない。それでも手持ちの「Nostromo SpeedPad n52te」の劣化は確実に進んでゆく…。
Razer_orbweaver Razer_tartarus

G13_advanced_gameboard

そこで止むを得ずに、取り敢えず現行製品では一番まともそうな「Orbweaver」を購入する事とした。然し、如何しても受け入れ難いのが、『LEDの色(緑)』と『キースイッチ(青軸)』である。現在のPC周りは全て青色LEDなので、出来る事なら全て同じ色で揃えたい。また、普段キーボードは「東プレ」の静電容量無接点方式を使用している所為か、「Cherry」の青軸(click tactile)の打鍵音がやけに落ち着かない。そこで、早速キースイッチとLEDの交換に挑戦してみた。(「Orbweaver Stealth」であれば最初から茶軸(tactile)だが、諸般の事情で今回の購入は「Orbweaver」とした)

※尚、電子回路基板の取り扱い(はんだ付け含む)に関する“知識”及び“経験”は一切ない。生来手先は器用な方なので、『何とかなるだろう』という好い加減な気持ちで望んでいる。その為、多々お見苦しい点があるかと思われるが、何卒ご容赦頂きたい。

■本体の分解

●用意した物
  キートップ引き抜き工具/カッターナイフ/プラスドライバー/マイナスドライバー

※下記手順で紹介している “外すべき螺子の箇所” だが、Lot.によって位置や数が異なるかも知れない。(海外サイトでは小生と違った配置の写真も見受けられた故)

●手順

①「Orbweaver」をPCから外し、引き抜き工具を使い全てのキートップ(20個)を外す。

Razer_orbweaver_02_4 Razer_orbweaver_04

②キーパッド背面の滑り止めラバーシート&キャップ(5箇所)を剥がし、螺子(6箇所)を外す。

Razer_orbweaver_04_2 Razer_orbweaver_05

③サムモジュールのアーム接続部のカバーを外す(螺子留めではない)。(アームの根元部分に爪を入れ、矢印方向へ持ち上げるようにすると、外れ易いかも知れない)
Razer_orbweaver_06 Razer_orbweaver_07

④アーム接続部の螺子(6箇所)を外し、パームレスト背面部の螺子(1箇所)も外す。
Razer_orbweaver_08 Razer_orbweaver_09

⑤キーパッド前面のカバーを外す。(両側を掴み僅かに持ち上げながら、矢印方向へスライドさせるように引き抜くようにすると、外れ易いかも知れない)
Razer_orbweaver_10 Razer_orbweaver_11

⑥基板とサムモジュールを繋ぐケーブルを外し、基板の螺子(2箇所)を外す。(要ケーブルの向き(配列)確認)
Razer_orbweaver_12_2 Razer_orbweaver_13

⑦基板は更に本体4箇所のツメで固定されているので、基板下にマイナスドライバー等を入れて軽く持ち上げる。
Razer_orbweaver_14 Razer_orbweaver_14

以上で本体から基板が外れる。(白いフラットケーブルも繋がっており引っ張ると引き抜けるが、戻し方が良く分からなかったので小生は外せなかった)

>>> 次回、「キースイッチ交換&LED交換」へ続く

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